2025.10.6

[KOKUYO Vol.2]

「らしさ」をどう探り、

どう表現したのか?

構成・デザイン・言葉に宿る

こだわりを紐解く

コクヨ サイト制作の裏側に迫るnote記事 第二弾となる今回は、コーポレートサイト領域にスポットをあて、ご紹介していきます。

※Vol.1「プロジェクトの全貌編」をまだご覧になっていない方は、
  ぜひ先にこちらからお読みください。

目次

必須情報だけでは終わらない、「体験」としてのコーポレートサイト

一般的にコーポレートサイトは、必須項目や定型的な情報が多く、その結果、事務的で画一的なデザインや表現になりやすい傾向があります。

しかし私たちは、必要な情報を整理して伝えるだけでなく、その先にあるコクヨらしさを表現することに挑みました。

コクヨという企業が持つ等身大の文化、120年の歴史、今の姿、そして未来のありたい姿をいかにしてウェブサイト全体に宿すのか。
社員のみなさんの協力をいただきながら、「らしさ」を見つけ出し、サイトに吹き込み、「体験」を生み出すまでのプロセスを振り返ります。

1. 120年の歴史に向き合い、未来を描く

今まで遂げてきた有機的な成長を可視化


「コクヨって?」

方針策定、そしてコーポレートサイトのワイヤーフレームを検討する過程で、何度も自問し、また投げかけられた問いかけです。
この根源的な問いに答えられなければ、サイトで「コクヨらしさ」を表現することはできません。

答えを探し出すために、私たちは現在と未来のコクヨを知るためのヒアリングを行うと同時に、過去の資料を読み込み、歴史の紐解きを進めていました。

このプロセスでも膨大なインプットがありました。
参考にしたのは、各サイトの沿革、100周年記念の社史、そしてコクヨクロニクルという過去にコクヨが編纂したコンテンツ(現在も公開中)。
まずは1つずつ代表的な商品やエポックメイキングな出来事を一枚の図として並べるワークがはじまりました。

ワークをはじめた際のラフ。 一つずつ歴史の連なりを繋げていく予定だった。

歴史にまつわる資料を読み込み、象徴的な出来事やアイテムを書き記していくと、あることに気づきます。

「コクヨの歴史は、一直線では辿れない」

文具から家具、そして空間、通販へとその事業領域を拡げてきたコクヨの歴史。幾度もの分岐を経て枝葉のように広がってきたその歩みは、リニアな成長ではなく、有機的で、まるで生命体のような成長に他なりませんでした。
この気づきは、地道に手を動かし続けた先に突然あらわれた偶然の発見でした。

さらに、歴史の紐解きと同時に進めていた、創業以来「変わらないもの」の整理もここで役に立つことに。

「共感共創」「体験デザイン」「実験カルチャー」という3つの企業価値観。

この価値観が事業領域拡大の原動力だったとしたら。
新たな価値観が生まれ、掛け合わさることで、新たな事業が生まれるのではないか——。

そのようなことを考えながら歴史を眺めていたとき、
この仮説と、歴史のマップが結びつく瞬間がありました。

完成した歴史の紐解き図。

そして現在から、未来へ

この有機的な図は、あくまで過去から現在地点までを描いたもの。
私たちが次に描くべきは、この歴史の続きを示す現在から未来をつなぐ地図でした。

複数のアイデアを出しましたが、どれも決定打には至りません。

検討するプロセスで制作していた別案。河川のように領域が広がり、人が集まり、コミュニティができ、やがて街となるパターン(左)と「森林経営」から着想を得て層状に深度を表現したパターン(右)。

方針提案も差し迫っていたある日、それぞれワークを進めていたCD・AD米道、PM楠本、編集 堀江が集まり、それぞれの考えをぶつけ合うことに。

コクヨの価値観「共感共創」「体験デザイン」「実験カルチャー」は現在のコクヨの中でどう生きているのか。
コクヨが目指す「自律協働社会」とは、どのような社会なのか。
そして、コクヨが目指す「WORK & LIFE STYLE Company」とは一体何なのか。

今までヒアリングで聞いてきたことに立ち返り、
一つひとつのことばの定義を確認し、仮説を立て、図式化する。
違うと思ったらまた仮説を立て直す。

議論しながら書いては消し、消しては書くということを繰り返し、
4-5時間ほど、結論が出るまで徹底的に試行錯誤を繰り返しました。

徐々に、思考がまとまり、輪郭が見え始め、完成したのがこの図です。

「共感共創」「実験カルチャー」「体験デザイン」をコクヨの原動力「価値創出サイクル」として描き、
人の気持ちに寄り添うことを出発点に、そのサイクルが回り続けることによって、コクヨはワクワクするモノ・コトを生み出す。生み出されたモノ・コトは、人びとの豊かな自律協働社会を支える力になる。これが WORK & LIFE STYLE Company コクヨであると結論づけました。

今まで紐解いてきた歴史と現在地、そしてこれからのコクヨ。
すべてが一直線上に並んだ瞬間、私たちは核心を持つことができました。
コクヨの過去も、現在も、未来も、これで表すことができるのだと。

この1枚の図があることで、企画を立て、WFを作成する際にも、どの部分に焦点を当てているのか、明確に指し示すことができるようになりました。

2. 「キャラクター」の発見と編集軸の設定

いかにしてコクヨらしさを表現したのか

Vol.1 の記事でも触れた通り、
ヒアリングから導き出した軸は「人中心」であること。

方針策定のタイミングでは発見できず、WFを制作中に辿り着いたのが、
コクヨの「キャラクター性」でした。
サイト制作において、最も大きな転換点となったのが、コクヨの「言葉」と「編集軸」を定義することでした。

真面目で信頼感があるけど、どこか遊び心があってチャーミング。
おおらかさと幅広さ。

そのバランスをどのようにコピーやデザイン、写真、そして演出で表現していったのか。メンバーのこだわりポイントとともに、具体的にご紹介していきます。

CD・AD 米道

コーポレート領域では、言葉や構成による「コクヨらしさ」の表現に加え、「編集」に強くこだわりました。さらに撮影にも力を注ぎ、約100名以上の社員さんにご協力いただいています。これほど多くの社員が登場するコーポレートサイトは、きっと珍しいはずです。

・コクヨを知る
サイトの核となる「コクヨらしさ」がつまっています。情報設計の中で、その“言い方”を見つけ出せたことが、最大のブレークスルーでした。

・領域の広がり
方針策定としっかりつながりながら、最も編集の妙が活きているページです。コクヨの歩みと未来が描かれ、さらに下層に進むほど詳しく知れるので、関心に応じて深掘りできる構成です。

・社員とモノ・コトづくり
設計の中心にあるのは、コクヨの「人」と「文化」。そこから数多くのプロダクトやサービスが生まれているのだと感じることができます。

Dev 須多

僕はコーポレート領域中心に広範囲の実装を担当しました。
デザインをしっかり再現したうえで、控えめながらも楽しさを感じられる演出を細かく調整していきました。

・社員とモノ・コトづくり
なかでもこだわっているのが「社員とモノ・コトづくり」のページです。ぜひ動きにも注目して見ていただきたいです。

編集 堀江

コクヨらしさをサイト全体を通して感じさせていくために、言葉に関しては「これだ」というものが出るまで、何度もコピーライター小藥さん、CD米道と一緒に検討を重ねてきました。
特に思い入れがあるのは、「領域の広がり」の下層にある「今までの成り立ち」「取り組み」「未来に向けて」のページです。

・文具 今までの成り立ち、現在の取り組み、未来に向けて
・家具 今までの成り立ち、現在の取り組み、未来に向けて
・空間 今までの成り立ち、現在の取り組み、未来に向けて
・通販 今までの成り立ち、現在の取り組み、未来に向けて
各事業部の社員さん約40名に取材と撮影協力をいただきました。4事業領域の広がりをより具体的に知ることのできるページになっていると思います。

方針策定の資料も公開中。
ぜひこのnote記事と、公開資料、完成したサイトを見比べてみてください。わたしたちが歩んできたプロセスが、きっと見えてくるはずです。

続く Vol.3 では、「プロダクトサイト領域」の制作について、より詳細な舞台裏をご紹介します。どうぞお楽しみに!


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取材・文=堀江由利子(mount inc.)

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