2026.10.14

マネックス証券のサイト制作の裏側。
「人とお金との関係や幸せまで考えた投資」を伝える。

マネックス証券の、投資がはじめての方向けのサイトが9月末に公開されました。

専門用語が並びがちな投資の世界を少しでもわかりやすく、
そして、マネックス証券さんの「投資で人生の可能性を広げ、
ハッピーになる人を増やしたい」という創業来の願いを届けたい。
そんな想いから生まれたサイトはどのような経緯で作られていったのか。
制作の裏側をお届けします。

サイトはこちら
https://info.monex.co.jp/introduction/

はじめに

マネックス証券は、1999年のインターネット証券黎明期に設立された企業です。 
今回、私たちは、投資初心者やこれから投資を始めようとしている方に向けた「イントロダクションサイト」の企画・制作に取り組みました。その中心に据えたのは、マネックス証券が培ってきた良さや姿勢を、一貫した「人格」として束ねること。そして、その人格が伝わる体験を通じて、お客様が自分に合った投資の入り口を見つけられるようにすることでした。何を伝えて、どのようにお客様と向き合うか。事業の成果につながるコミュニケーションを目指して、マネックス証券のみなさんと約半年にわたり議論を重ねてきました。

マネックス証券からの最初のブリーフィングは、「自分たちの信条を通して、もっと多くの人にとって、投資を自分ごと化できる体験に転換したい」というものでした。新しく投資をはじめる人が増えている今、「投資は難しい、特殊なこと」という悩みがなかなか解決されていない現状が続いており、「証券会社が主語ではなく、お客様起点での体験を、マネックス証券らしいブランド体験で提供したい」というご相談でした。

今回は、このプロジェクトで考えてきたことや、込めてきた想いを、私たちの目線から紹介します。

目次

第一章. マネックス証券の「投資で人生の可能性を広げ、ハッピーになる人を増やしたい」という願いに寄り添った体験設計

メンバー

文章

米道 昌弘

米道 昌弘

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1.投資をはじめるときの障壁を理解する

投資をはじめようと思い立ったものの、証券会社のサイトを見て、何から選べばよいかわからず心が折れる。私自身も、そんな経験がありました。「投資は難しい」「わかりにくい」。そう感じてしまう状況を変えるためには、どこでお客様が立ち止まってしまうのかを、もう少し掘り下げて考える必要がありました。

その手がかりになったのが、マネックス証券が目指していた、投資を「自己実現ができるツール」にするという考え方です。投資によって何を実現したいのか。その人自身の目的や興味関心から、投資のしかたを選べることが大切だと考えているというお話をお聞きし、そこに共感しました。一方、マネックス証券を含めた証券会社のコミュニケーションを見ていくと、顧客満足度や口座数、手数料、ポイントといった、企業や商品・サービスの強みを伝える情報が目立ちました。いずれも比較するうえで大切な情報ですが、これから投資を始める人にとっては、「それが自分にどう関係するのか」を見つけにくいのではないかと感じました。

投資をしようと考える理由は、人それぞれです。将来に備えたい人もいれば、好きなことをもっと楽しみたい人もいる。その違いを受け止める入り口が必要だと考えました。こうして私たちは、知識の難しさに加えて、「興味はあるけれど、自分に合う投資を選べない」ことも、行動を阻む大きな障壁なのではないか、という仮説を立てました。

2.「人」起点で、自分に合った投資を選べる状態に

では、どうすれば自分に合った投資を選べるようになるのか。
まず、このサイトにどんなお客様が訪れ、どんな気持ちで投資を始めようとするのかを考えました。そのうえで、一人ひとりの目的や興味関心や不安に合わせた投資の入り口を具体的に設定していきました。

例えば、
・旅行やアートなど、好きなことをもっと楽しみたい人には、これからの経験や選択肢を増やすための投資のはじめ方を。
・まとまったお金を投資に回すことに不安がある人には、無理のない少額から始める方法を。
・好きなブランドや企業を応援したい人には、興味関心から投資先を見つける方法を。

商品を比較する前に、自分が何をしたいのか、どんな始め方ならできそうかを考えられるようにする。そこから、自分に合った投資のしかたへとつながる道筋をつくりました。
この「人」を起点とした選択の体験が、投資を「自己実現ができるツール」にするための土台です。
そして、その道筋をどのような姿勢で案内するかにも、マネックス証券らしさが表れると考えました。お客様一人ひとりの関心ごとや迷いを受け止めて、一緒に投資の入り口を探す。その接客そのものを、マネックス証券の人格が伝わる体験にしていこうと考えました。

支給いただいた周年冊子。マネックス証券の特徴やこれまでの取り組みをリサーチしました。

3.マネックス証券らしい「人格」

では、お客様と向き合うときに表れるマネックス証券らしい人格とはどんなものか?
それを理解するために、創業からの歩みやこれまでの発信、お客様との関わり方を見つめ直しました。そこで私たちが着目したのは、マネックス証券さんの、インターネットを通じて金融サービスを届け続けてきた企業でありながら、画面越しにも感じられる「人間味」でした。

発信する人の顔が見えること。お客様に届ける言葉や、人とのつながりを大切にしていること。お客様と定期的に対話をしていること。そしてそれらを創業からずっと続けていること。画面を介していても、一人ひとりに誠実に分け隔てなく接しようとする姿勢を感じました。対面ではないからこそ、言葉や伝え方に、その企業のお客様への向き合い方が表れる。マネックス証券が積み重ねてきたこうした姿勢が、他にはないマネックス証券の魅力として見えてきました。

この人格を、サイト上の接客にも一貫して表していく。お客様の関心や迷いを受け止め、選択を支えるやり取りを通じて、マネックス証券がどんな会社なのかを感じてもらう。そのような方向性を定めていきました。

4.マネックス証券の人格の具現化

投資を「自己実現ができるツール」にすることと、マネックス証券らしい「人格」を伝えること。この2つを、ひとつの体験として設計していきました。

お客様が何を実現したいのか、何に興味があるのかを尋ね、その答えに応じて投資の入り口を提案する。迷いには説明を添え、自分に合った選択を支える。そうしたやり取りを通じて、マネックス証券の誠実さや人間味も感じられることを目指しました。
企業としての強みを説明するだけでなく、サイトでの接客を通じて、その姿勢を体験してもらう。これが、今回のサイトの骨格です。その人格を具体的に表すために、言葉の選び方、問いかけの順序、選択肢の見せ方、ビジュアルや動きを、ひとつながりのものとして考えていきました。

視覚的な表現を考えていく上でヒントになったのは、マネックス証券のロゴマークです。その親しみのある表情にも、マネックス証券らしい人間味を表す可能性を感じました。

マネックス証券のロゴマーク。「人間を主役としたお金のネットワーク」を表現しています。

このマークを生かしながら、言葉や動きも含めて、気軽に投資について考えられる距離感をつくっていく。お客様が自分に合った一歩を見つけるまでの体験全体で、マネックス証券の人格を感じてもらえるようにしたいと考えました。


ここまでが、サイトの土台となるブランド戦略の整理です。
ここからは、この人格をどのような言葉やビジュアル、動きとして表していったのか、世界観づくりの実制作を紹介します。

第二章. 実制作へ

WEBサイトの制作方針を定めた後は、ワイヤーフレーム制作・デザイン・実装などの実制作へ。ここからは、各パートに携わった制作チームのコメントと共に、実制作を振り返っていきます。

1.オオクボリュウさん・藤本宗将さんとの制作

構成の検討と並行し、今回のテーマと内容に沿うイラスト、コピーを依頼する方の検討をはじめました。


・ イラストレーターさん探しの旅

山﨑

山﨑

最初は、3つの方向性がありました。①知的×ラフな線/②抽象的×ユーモア/③グラフィカル×シンプルな面 3つの方向性でイラストレーターさんをまず探って行きました。
イラストレーターさんの作品を並べて見ていく中で、方向性もより具体化していきました。「金融を扱う会社として信頼を埋めるように知性や上品さは必要」「ターゲットに身近に感じてもらえたり、素敵と直感的に思ってもらうために、カルチャーぽさがあった方がいいかも」「難しくなりがちな投資の世界を翻訳するために親しみや柔らかさは必要」など。見えてた条件をもとに、イメージに合う方をインスタやdribbleなどでひたすら探しました。

・ オオクボリュウさんへのお声がけ

仲橋

仲橋

デザイナーの山﨑さんのピックアップの中で、オオクボリュウさんのイラストを見たとき、米道さん山﨑さんも「オオクボさんにお願いできたら一番良いな」という意見でした。

とはいえ、オオクボさんとははじめてお仕事をご一緒させていただく機会。
ご依頼する点数が多い中で制作期間も限られているため、内心ドキドキしながらご依頼。快く受けてくださり、制作がスタートしました。(個人的「ホッと」ポイントはここでした。オオクボさん本当にありがとうございました。)

・ オオクボリュウさん コメント

オオクボリュウさん

オオクボリュウさん

素敵なプロジェクトに呼んでいただいて、ありがとうございました!
普段なかなか機会のない領域での仕事でしたが、
だからこそ声をかけていただけたのかな、と感じています。
mountさんにぼくのイラストを縦横無尽に動かしてもらえて、とても嬉しかったです。
そして、先人である松永真さんが手がけたロゴをイラストに描けたことを光栄に思います。

website:https://ryuokubo.com
instagram:@ryu_okubo_

・ コピー、セリフの検討

サイト上での投資の案内に欠かせない「コピーライティング」。
従来の証券会社が謳うような金融商品やスペックの紹介をするのではなく、お客様に気付きが生まれ、お金とどう向き合うかを考えてもらいたい。マネックス証券のみなさんとの会話の中でも、たくさんの意見が生まれました。

出てきた言葉は
・知的で、ユーモアがあって、親しみやすく。
・グローバルな印象があるのか、日本人っぽい印象か。
・堅くなく、カジュアルすぎない。
・マネックス証券は「投資の先輩」だが、「人生の先輩ではない」ように。
・且つ、上から目線で語ったり教えたりするのではなく、お客様と対等な存在。

そんなことをマネックス証券のみなさんと考えていった結果、
「シニカルなユーモア」というキーワードが生まれていきました。

▲コピーライターの藤本宗将さんに協力いただき メインコピーやボディコピー、セリフなどを作っていただきました。
仲橋

仲橋

コピーを考えるのは、実はかなり時間がかかりました。

「誰もが、お金やお得情報から投資のことを考えるのではなく、幸せになるための手段としてお金を貯めたいという順番なはず。」
「例えば、友達に投資の話をされたらちょっと気になるよね。」
そんな話し合いを、マネックス証券のみなさんとたくさん重ねました。

知的だけど、ユーモアがあって、
偉そうでなく、寄り添ってくれて、
わかりやすい。

コピーライターの藤本さんが、そんな難解なオーダーをすべて受け止めて、いくつも案を出してくださいました。
藤本さんが元々持たれていた投資への知見と理解度、コピーライターとして生み出す短い言葉の中の濃縮率、ユーモアの混ぜ方、リズムの良さ。知っていた言葉なのにこう組み合わさるとこうも感じ方が変わるのか、と圧倒されました。

藤本さんにご協力いただけてとてもありがたかったです。本当にありがとうございました。

2. デザイン

山﨑

山﨑

個人的には、投資未経験ということと、久しぶりに演出に凝ったデザインではなく、情報設計がメインとなるデザインに取り組んだため、苦戦しつつも、投資について勉強しながら日々スタディを重ねました。
また、既存の投資関連コンテンツの印象が「未経験者にとっては難しいもの」か「ハードルを下げるために目線を下げた少し子どもっぽいもの」に二極化している中で、マネックス証券らしさを伝えながら、ターゲットの自分なりの軸を持つ、感度の高い若い世代の方に、「いいな」と思ってもらえるかどうかを頭の中でイメージを常に膨らませて制作していました。

特に印象に残っているのは、デザイン提案後、ブランディングを一緒に進めていたWhite Designの後さんから、色使いをもっと「ハッとするような新しさ」のあるものにしたほうがいいとご助言いただいたことです。そこからカラー検証を何度も重ね、デザイナーのキムさんや、最終的にはPMの仲橋さんにも協力いただきながら、現在の蛍光の中間色を差し色にする案にたどり着きました。
結果的に、サイト全体のチャーミングさや今回のサイトならではの個性が生まれ、最後まで検証を重ねてよかったと思います。

カラー検証のワーク画面の一部。黄色のカラーだけでも数パターンを検証。それ以外の組み合わせなども数十種類ほど検証を重ねた。

6. 静的実装と演出へ

山下

山下

静的実装で一番苦戦したのは、「投資のはじめかた」ページでした。曲線が多くて画像を使いたくなるタブ周りを、状態変化が多いためあえてコードで実装したり、インデックス付きのページが重なるような動きにしたりと、須多さんと協力しながら細かく調整を繰り返しました。
他にも、「はじめかた」と「口座開設」のボタンリンクのアテンションに注力しています。何気なくページを読み進めていてもふと目が止まり、かつ小気味よさを感じられるように意識しました。
サイトの中で特に見ていただきたい部分は、特長ページのキャラクターです。一見ただの画像かと思いきや、目や口がパチパチと動く仕掛けになっていて、チャーミングでずっと見てしまいます。

須多

須多

ページTOPは、イラストのふわふわとしたアニメーションなども相まって、賑やかでワクワクするような印象に仕上がったと思います。
演出以外では、「はじめかた」への導線や口座開設のボタンの挙動について、特にSPでユーザーが通り過ぎてしまわないよう、最後まで調整を重ね悩んだポイントです。
キャラクターのポーズに合わせて、さまざまなイラストが行き交うシーンもお気に入りです。マネックス証券がユーザーに寄り添い、伴走していく様子が伝わるだけでなく、動きそのものも可愛らしくお気に入りです。

おわりに

制作期間は約半年強。
メンバー一同、どうやったら投資をもっと身近に感じてもらえるか、
そして、お金との向き合い方への気づきが生まれるような効果的なものになるか、
泥臭く考え続けました。

多くの方が「ちょっと気になるかも」「まずは調べてみようかな」と感じ、
自分とお金との向き合い方について考えるきっかけとなること。

そんな存在として、このサイトがこれから多くの方と出会ってもらえたら嬉しいです。

つくることではなく、課題の解決が目的です。ぜひお悩みからお聞かせください。

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