KOKUYO
働く・暮らす・学ぶ。
文具だけではない企業の幅広い
取り組みを丹念に描く。
創業120周年に合わせ、「文房具のコクヨ」というイメージから「働く・暮らす・学ぶ」体験を幅広く提案していく本来の姿へと、コーポレート領域、プロダクトサイト、ポートフォリオ、オウンドメディア、スペシャルコンテンツすべてを統合的に編集し、丹念につくり上げました。事業部ごとに分かれていたサイトを、約2年半の時間をかけ、一つのサイトに集約することで新しいコクヨの姿を体現しています。

目次




















クライアントについて
コクヨ株式会社
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事業内容
1905年に創業し、文房具や家具、空間設計、通販事業で働き方・学び方・暮らし方の提案まで含めた体験をデザインする。
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特徴
創業以来「人を中心に考える」姿勢を貫き、時代の変化に応じて製品・空間・サービスを横断しながら、創造性と生産性を支える価値づくりを続けている点が強み。
プロジェクトが目指したもの

文房具のコクヨ。その一般的なイメージとは異なり、コクヨという企業が本当に行っている事業や取り組みはもっと多様で幅が広い。しかし、過去の分社化の名残によって事業ごとにサイトが別れており、領域を越えて伝わりにくい状態にありました。企業情報、プロダクト、オウンドメディアなどがそれぞれ独立して存在し、訪れた人が「コクヨとはどんな会社なのか」を理解しづらくなっているという課題意識がありました。ちょうど創業120年というタイミングにおいて、その歩みを誇示するのではなく、「なぜ続いてきたのか」「これから何を目指すのか」という未来志向のメッセージへと転換し、コクヨの本当の姿を表現していく方向性をつくる必要がありました。
プロジェクトタイムライン
期間:2年6ヶ月(2023年4月~2025年10月)


Point1 - 120年分の徹底したリサーチによる方針策定
ブランドリサーチ
120年分の資料のリサーチと
約25名の社員からのヒアリング
プロジェクトの起点となったのは、「コクヨを正しく理解すること」でした。120年にわたり事業を広げてきた企業だからこそ、表層的な情報整理では本質にたどり着けないと考え、まずは徹底的なリサーチを行いました。現行Webサイトの構造把握にはじまり、統合報告書、100周年史、各事業のカタログや冊子などを読み込み、情報を横断的に整理していきます。あわせて、役員・本部長・現場担当者など約25名へのヒアリングを実施。事業の背景や意思決定の文脈、現場で大切にされている価値観を丁寧に聞き取ることで、コクヨという組織の立体的な像が少しずつ浮かび上がってきました。

方針策定
過去と未来をつなぐコクヨを描き
389Pの方針策定資料へ
プロセスを通じて、「人を中心に据える」という共通の価値観が浮かび上がり、それを基軸として歴史と未来の文脈をつなぐ整理と編集を行い、377ページに及ぶ体系的な方針策定資料としてまとめ上げています。方針策定資料は、デザインや技術の方向性を決めるための資料であると同時に、コクヨらしさとは何かを問い直すための対話の記録でもあります。言葉・ビジュアル・体験をどのような思想で編み上げるべきかを丁寧に整理することで、制作チーム内だけでなく、関係者全員が同じ解像度で未来像を思い描ける状態をつくり出しました。結果として、この377ページは「過去の総括」と「未来への宣言」を併せ持つドキュメントとなり、Webサイトというアウトプットの枠を超えて、コクヨの次の120年に向けた指針として機能するものとなっています。


Point2 - 対話を重ね、壁を越える。伴走型で進めた合意形成のプロセス
プロジェクトマネジメント
対面やオンライン、資料だけでは
伝わらない複雑な課題を
何度も対話を重ねて乗り越える
このプロジェクトでは、多くの関係者が関わる体制の中で進行する必要があり、意見や立場の違いから検討事項が複雑化する場面が多くありました。そのため、拙速に結論を出すのではなく、関係者との対話を重ねながら進めることを重視しました。一度に全体解を示すのではなく、打ち合わせごとに生じる課題を整理し、次の検討材料や選択肢を提示する進め方を採用しています。資料やチャットだけでは共有しきれない認識のずれや背景については、対面やオンラインでのミーティングを通じてすり合わせを行いました。プロジェクト期間中は週に複数回の定例に加え、必要に応じて追加の打ち合わせを行う体制で進めています。こうしたプロセスを通じて、課題を一つずつ解消しながら合意を積み重ねることができ、結果として複雑なプロジェクトを安定して前進させるための基盤を整えることにつながりました。


Point3 - たくさんの対話を通して見えてきた等身大のコクヨらしさ
情報設計
人柄からその企業の特徴を見出し、
編集、撮影など
サイトにおける
強力な軸に
情報設計のフェーズでは、「人中心」というコンセプトは確立していたものの、「どう言うか」という表現の部分が定まらない課題がありました。転機となったのは、中期経営計画プロジェクトと並行して黒田社長や社員の方々と対話する中で見えてきた「関西弁」「親しみやすさ」「ウィット」といったコクヨのキャラクター性でした。この発見により、情報設計は構造やコピーだけでなく、企業の人間性を反映させるものという認識が共有され、以降のサイトデザイン、撮影、編集方針に至るまで一貫した指針として機能することになりました。

Point4 - 必須情報だけでは終わらない、「体験」としてのコーポレートサイト
情報設計
コクヨならではのキャラクターを軸にコンテンツを企画
コーポレートサイトは、会社概要や事業紹介など、掲載すべき必須情報が多く、構成が定型化しやすい領域です。本プロジェクトでも、まずはそれらの情報を整理し、正確に伝えることを前提に検討を進めました。一方で、検討を重ねるなかで見えてきたのは、情報を単に並べるだけでは、企業の姿や考え方までは十分に伝わらないという点でした。そこで、情報の量や網羅性だけでなく、「どの順番で、どの切り口から見せるのか」を重視し、編集の視点から全体構成を再設計しています。具体的には、言葉のトーンやコピーの組み立て方を軸に、写真やレイアウトを連動させることで、読み進める中で自然と企業の背景や広がりが理解できる構成としました。「コクヨを知る」では考え方や歴史を整理し、「領域の広がり」では事業の展開を段階的に把握できるよう、情報の深度に応じて読み進められる設計としています。

Point5 - コクヨの魅力を伝えるためのプロダクトサイトの制作
コンテンツ設計
性質の異なるプロダクトを
横断するための視点
文具と家具という異なる領域を一つのサイトに統合するにあたり、単純に情報構造やフォーマットを揃えることは目的としませんでした。製品の大きさや用途、ターゲットは異なっていても、どちらも「人の行為や環境を支えるための製品」であるという点に着目し、共通して貫ける編集の観点を探っていきました。検討を重ねる中で軸となったのが、「ものづくり」と「スタイル」という視点です。製品カテゴリで分断するのではなく、背景にある考え方や使われるシーンを起点に情報を再構成することで、文具と家具を無理なく横断できる構造を目指しました。この整理によって、個々の製品情報を追いながらも、プロダクト群全体を一つの流れとして理解できる構成が形づくられています。


プロダクトの魅力を直感的に
伝えるための表現手法
プロダクト領域の表現で共通して大切にしたのは、サイトを訪れた際の感覚的な高揚感です。文具や家具は、新しい製品と出会い、手に取り、試すことで魅力が伝わるもの。そこで、サイト上でも文具店や家具店に足を踏み入れたときの感覚に近づけることを意識しました。具体的には、その時々の注目製品を並べられるショーケースのような構成とし、担当者がVMDの視点で見せ場をつくれる設計としています。また、静止画だけでは伝わりきらない使い方や機能については、映像やコマ撮り表現を取り入れ、触って理解する感覚を補完しました。過度な演出は避けつつ、色使いや動きの工夫によって、製品ごとの個性や親しみやすさが自然に伝わる表現を積み重ねています。こうした表現の積み重ねによって、情報として製品を並べるのではなく、見て、感じながら製品と向き合えるプロダクト領域を構築しました。

Point6 - 社員自らが編集者として運営するオウンドメディアの運用構築
オウンドメディア運営
22に分散していたオウンドメディアを
どう再編するかという課題
"リニューアル以前のコクヨのWebサイトでは、部門や製品ごとに個別の発信が行われており、読みものコンテンツだけでも約22のオウンドメディアが存在していました。質の高い記事や取り組みが数多くある一方で、発信の場が分散していたことで情報がユーザーに届きにくく、「コクヨとして何を伝えているのか」という全体像が見えづらい状況にありました。また、プロジェクトやサービスによっては十分に発信されておらず、存在自体が知られていないケースも少なくありませんでした。この課題に対し、個別のメディアを増やすのではなく、散在していた声を一度束ね、「コクヨとしての発信」を整理・再構成する視点が必要だと考えました。"
立ち上げ時点で39本の記事を
揃えたマガジン領域の構築
そこで提案したのが、新たな「マガジン領域」の立ち上げです。各所で発信されていた読みものコンテンツを集約し、発信力を高めると同時に、SEOの観点から新たな集客導線をつくることを目指しました。また、社外向けの情報発信にとどまらず、社内報としての役割も担うことで、インナーブランディングや社員の意識醸成につながる場として位置づけています。企画・記事制作フェーズでは、編集のプロフェッショナルであるitsknのチームにも参画いただき、コクヨと協働しながら制作を進行しました。2025年10月2日のローンチ時点では、itskn制作記事10本、コクヨ制作記事29本、計39本の記事を公開。社内外の知見を取り入れながら、幅のある内容でスタートできたことも、この取り組みの特徴です。

作り手の声
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米道
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終わらない仕事はないですよ。困難なときにコクヨさんが言っていた言葉です。本当でした。クライアントの皆さんと一緒につくったサイト、ぜひ見てください。120周年おめでとうございます!
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梅津
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秋分の候、いかがお過ごしでしょうか。僕は元気です。この規模のプロジェクトはなかなかやれないし、もうやりたくないし、やらないです!
こんな文を書けるのも関係者皆さまのおかげというものです。以上よろしくお願いします。
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クレジット
CLIENT: コクヨ株式会社
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Executive Creative Direction: イム ジョンホ(mount inc.) / Creative Direction, Art Direction, Planning, Design: 米道 昌弘(mount inc.) / Technical Direction, Development: 梅津 岳城(mount inc.) / Design: 井出 裕太(mount inc.)/ Design, Information Architect: タイ トウオン(mount inc.) / Design Assistant: 劉 逸葳(mount inc.) / Development: 寺田 奈々(mount inc.), 須多 望(mount inc.)/ Edit, Information Architect: 堀江 由利子(mount inc.)/ Produce: 吉田 耕(mount inc.)/ Project Management, Information Architect: 楠本 莉沙(mount inc.)/ special thanks: 岡部 健二(mount inc.), 山下 亜加里(mount inc.), ハン ユジュン(mount inc.) / Project Management: 津留 正和(ingraft)/ Development: 小林 信次(まぼろし), 大出 直樹(ファクトリアル)/ Project Management, Planning: ハン・ジュホ(DFY), ソク・ミス(DFY) / Design: イ・ウンビ(DFY), キム・ヒョンモ(DFY), ユン・アミ(DFY), キム・ソヨン(DFY) / Development: キム・チョルジュン(DFY), オ・ハヌル(DFY), イ・ジンジェ(DFY), ペク・ミンギョン(DFY), キム・ジェリム(DFY) / Accessibility Supervision: 堀江 哲郎(Torque inc.), 阪口 卓也(Torque inc.), 小島 準矢(Torque inc.), 上瀧 悠平(Torque inc.), 本田 一幸(Torque inc.) / Illustration(History): 小林 千秋 / Copy Writing(corporate site, special site): 小藥 元 / Photography_Produce: 有馬 知良(JXL), 市川 悠(JXL) / Photography: 福岡 秀敏, 中村 実琴, 堀 陽真 / Hair makeup: 加古 高規, 亀島 チカ, 迫田 美沙希, 笹原 彩珠夏 / Interior Styling: 酒井 翼, 牧野 梨沙 / Photography(interview): 小山 奈那子 / Photography(products): タカハシ トミユキ / Assistant: 瀧川 やよい, 佐藤 萌, 鎌田 采花, 高橋 識如 / SPECIAL SITE_CG animation: MORIE Inc. / Illustration: 髙橋 あゆみ / Music: 有村 崚 / Copy Writing: 小山 佳奈(株式会社 上田家) / Translation: シルバ・リリア(LATINA FORTIS) / MAGAZINE_Direction / Planning: 伊藤 総研 / Edit, Planning: 山﨑 若菜 (itskn) , 森木 友香 (itskn) / Produce, Project Management: 山田 理沙 (itskn), 天本 季恵 (itskn) / Writing: 船橋 麻貴, 大芦 実穂 / Photography: 井上 昌明, 浦 将志, 嶋崎 征弘, 柿崎 豪 / Interior Styling: 竹内 優介